釈尊はまずこうおっしゃいました。
「比丘(びく:男性の修行者)たちよ、比丘の
親近してはならない二つの辺がある。」
(辺とは極端という意味です。)
一つの極端は快楽主義であり、もう一つの極端は
苦行主義です。その二つとも道理にかなわぬ
ものであることを説かれた釈尊は、
「比丘たちよ、如来はこの二辺をすてて、中道を
現等覚したのである。」と宣言されたのです。
釈迦がお悟りになった中道というものは、
快楽主義という固定した考えで世に生きるのも、
苦行主義という固定した考えで修業するのも、
赤や緑の眼鏡をかけてものをみるのとおんなじで、
世のすべての物事を正しく見る見かたではない。
迷いの雲のかかった見かたである。
それはけっして涅槃にいたる道ではない。
そういうかたよった、固定した立場をとらないで、
真理に従ってものを見、真理に従って
行動しなければならない。
こういう意味のものだったわけです。