子どものない人はいても、親のない人はいません。
縁として生まれてくるのですから、親子の縁は
自分がこの世に生きていくいちばん基本の
関係です。
その親に対する考え方が確立できていなくては、
他人との関係がうまくいくはずがありません。
「孝は百行の本」と昔からいわれてきました。
自分が幸福になろうと思ったら、
まず親孝行ができなくてはならない。
日蓮聖人は、「孝と申すは高なり、
天高けれど孝よりは高からず。
又孝とは厚なり、
地厚けれども孝よりは厚からず。
聖賢の二類は孝の家より出たり」
とおっしゃられています。
人間関係のいちばんの出発点である親への感謝が
できないと、社会のあの人この人との関係、
あの国この国との関係も保てません。
出発点がぐらついていると、
関係が拡大していればいくほど、
ずれが大きくなってしまうのです。
いまの社会のさまざまな問題の大もとは、
親を通して仏さまのいのちを頂戴できたその恩を
教えなくなったことに原因があるように、
私は思えるのです。